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アップストリームファースト(Upstream First) - Toradexのメインラインカーネル対応が実現

2022年11月21日月曜日
Linux

LinuxToradexは、前四半期にソフトウェア戦略の重要なマイルストーンを達成しました。

Toradexが「アップストリームファースト」のアプローチを採用

Toradexのハードウェアとソフトウェアは品質が高いことでよく知られており、さらにToradexは製品ライン全体に渡る大半のプロジェクトで、オープンソースのイニシアチブに取り組んでいます。特にLinuxカーネルでは積極的な貢献を続けています。Toradexでは、これに伴ってメインラインのLinuxカーネルに可能な限りあらゆる変更をコミットする戦略への転換を決め、「アップストリームファースト」のアプローチに熱心に取り組むようになりました。


Upstream First


Toradexのリリースは、BSP 6.0.0以降、可能な限り、最新の安定したメインラインLinuxカーネル(例えば前述のバージョンではカーネル v6.0)でリリースされます。今回初めて、サポート対象の32ビットi.MXベースSoMのすべてがメインライン/アップストリームのカーネルのみを利用していることになります。iMX8M MiniとiMX8M Plusを含むToradexのVerdinファミリーにも、メインラインカーネルの実験的なバージョンがあります。これは、これらのボードで依然サポートされているNXP®ベースのダウンストリームBSPに代わるBSPとしてリリースされます。

アップストリームファーストとその利点

Toradexでは、OpenEmbedded/Yocto Project 4.0(Kirkstone)の長期サポート(LTS)対象のバージョンを使用しています。Toradexは、メインラインを優先するアップストリームファーストの方針に基づき、アップストリームのオープンソースプロジェクト(この場合はLinuxカーネル)で技術ソリューションを適切に実装、修正します。受け入れられた変更は、ダウンストリームと呼ばれる、安定した潜在的なフォークにバックポートされます。この決定は、オープンソースプロジェクトとそのコミュニティへの貢献に取り組んでいくという、Toradexの意思を再確認するものでもあります。

Linux Yocto Project

メインラインのプロセスでは、Toradexがコードやパッチをアップストリームに提供し、ほかの複数のレビュワーにコードを見てもらうことになります。これにより、品質、堅牢性とコード標準化が促進されます。一方で、プロセス完了までに要する時間が長くなる可能性もあります。Toradexには、アップストリームのレビューと受け入れプロセスに関して直接の影響力がありません。ときには、小さな問題を解決するために、Toradexのコードに修正を加えたり、まったく異なる実装のアプローチを取ったりする必要が出ることもあります。品質を向上させるにはこの代償が必要です。今後のバージョンには自動的にToradexの変更が含まれるようになります。あるいは、ほかの誰かがToradexの変更に改良を加える可能性もあり、より優れた内容の変更が含まれることになるかもしれません。

Toradexでも、これらの変更がアップストリームで統合された後、フォークされたすべてのダウンストリームバージョンにその変更を含めるようにします。このため、新しくサポートされる機能がすべての新しいバージョンに継承されるとすぐに、ダウンストリームの品質も向上します。この例としては、SoCベンダー専用バージョンとCivil Infrastructure PlatformのSLTS(超長期的サポート)が挙げられます。いずれToradexは、より新しいメインラインカーネルブランチをLTSとしてさらに長期に渡って保守していきます。LTSへの公式なバックポートには、アップストリームにおける認証のステータス、つまり、まずはアップストリームで統合済みであることが必須となります。

ToradexがLinuxカーネルv6.0のBSP 6.0.0をリリースしたのは偶発的なことではありません。あらゆる製品の品質と有用性を向上させるための、Toradex担当チームとオープンソースコミュニティ全体による多大な努力を示す意義ある出来事です。

新しいリリースをご利用ください!

記者:
Renato Kiss、Toradex、ソフトウェア、プロダクト
・マネージャー

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